KOTOMIN 「BOUZU NO JIGOKU」

淡い水色の湯けむりの中、鬼と人間、そして猫が共に温泉を囲む不思議な光景が広がります。画面手前の鬼は鋭い表情をしながらもどこか人間味があり、湯船の中央にはぷかぷかと浮かぶ可愛らしい魂たち。対岸に立つ人物と猫は、興味深げにその様子を見守っています。限られた色数で構成されたグラフィックな画面は、シンプルながらも深いストーリー性を感じさせます。湯けむりの柔らかい曲線と、鬼の力強い輪郭の対比が絶妙で、地獄を舞台にしながらもどこかユーモラスで温かい空気が漂う一枚です。

モノトーンに淡いブルーが映えるこの作品は、和の空間にもモダンな空間にも自然に馴染みます。地獄というテーマでありながら、どこか親しみやすく、見る人の心を和ませる不思議な魅力があります。飾ることで、日常の中にユーモアと哲学が交錯するような余白が生まれ、空間全体にリズムを与えます。緊張と安らぎが共存するそのデザイン性は、アートとしての完成度が高く、物語を感じさせる一点として飾る場所を選びません。眺めるたびに、笑いと静けさが交互に訪れるような知的なインテリアアートです。