KOTOMIN 「MORI NO JIGOKU」

深い森の奥、濃淡の緑に包まれた中から鋭い眼差しの鬼が姿を現します。手には金棒、背景には幾何学的に描かれた木々。単純化された形と強いコントラストによって、森という自然が持つ神秘と恐れが同居する空気を見事に表現しています。画面下には、こちらを見つめる猫のような白い影。観る者の視線を鬼と結びつけ、物語を想像させます。黒・白・緑だけの限定された色使いが、かえって豊かな深みを生み出し、版画ならではの緊張感とユーモアが融合した構成です。

森の静寂と鬼の存在感が見事に調和したこの作品は、空間に独特のリズムと奥行きをもたらします。グリーンを基調とした構図は自然の落ち着きを感じさせ、インテリアに穏やかなアクセントを添えます。一方で、鋭い黒と白の対比が空間を引き締め、都会的でモダンな印象を演出。見るたびに物語が浮かび上がるような深みがあり、観る人の想像力を刺激します。アートを通して静かな緊張感とユーモアを楽しむ、洗練されたインテリアアートとして最適な一枚です。