平石智美 「鶴と椿」

柔らかな光を受けてたたずむ二羽の鶴が、華やかな椿の花々に囲まれて描かれています。切り絵の技法による繊細な線が、羽毛や花弁の模様を際立たせ、まるで絹織物のような上品な質感を漂わせています。背景には幾何学的な文様や水面の揺らぎが重なり合い、伝統的な美と現代的なデザイン感覚が融合しています。彩色には深みのある赤や金が効果的に使われ、鶴の凛とした姿と相まって、吉祥を感じさせる堂々たる印象を与えてくれる作品です。

この作品は、空間に格調高さと華やぎをもたらします。鶴の優雅な姿は縁起の良さを象徴し、見る人に落ち着きと希望を届けます。赤や金の鮮やかな色彩と、白や淡い水色の柔らかな調和が、室内に品のある彩りを加え、空間全体を明るく引き立てます。切り絵特有の陰影が生む立体感は、飾る場所の光の変化によって印象を変え、日々新鮮な魅力を味わえるのも魅力です。和室にも洋室にも調和し、訪れる人の心に深い余韻を残す存在となるでしょう。